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子株・スポア株・TC株:ビカクシダの商品表示と「親株の表現」の読み方

同じ名前のビカクシダでも、子株・胞子培養・組織培養では中身が違います。どれだけ親株に似るか、何年かかるか、なぜ値付けが百倍違うのか。表示の読み方をまとめました。

同じ名前、三つの別の株

品種名の付いたビカクシダは、三つの経路のどれかで手元に来ます。親株から外した子株、親株の胞子から育てた胞子培養株(スポア株)、親株の組織を複製した組織培養株(TC株)。名前は同じでも中身は違います。この三語を読み分けることが、コレクションの最初の一歩です。

子株(株分け):親株の続き

子株は親株が根茎から出す新しい頭で、遺伝的に親株と同一です。外して板付けすれば、葉姿も銀白も株姿も親株どおりの小さな親株になります。日本では OC(オリジナルクローン)と呼ばれ、命名品種で最も信頼される出自です。

ただし、すべての種が子株を出すわけではありません。ウィリンキーコロナリウムベイチーマダガスカリエンセは出します。リドレイワンダエ、グランデ、スパーバム、ホルタミーは生涯単頭です。この一点が、後者の希少性を決めています。

スポア株:親株の子であって、コピーではない

胞子は有性生殖です。スポア株は両親の形質を受け継ぎますが、形質は分離します。同じ播種でも、より矮性の個体、より白い個体、ごく普通の個体が混ざります。どれだけ親株に似るかは、親株の系統の安定性と、単独播種か混合播種かで変わります。

だからスポア株には二つの顔があります。新しい表現が生まれる唯一の源で、今流通するドワーフやムーン系の名前はすべて、かつて苗のトレイから選ばれたものです。一方で、誤表示が最も起きやすい出自でもあります。誠実な表記は「◯◯のスポア株」「◯◯実生」であって、「◯◯」単独ではありません。

TC株:均一だが、個体性はない

組織培養(TC・メリクロン)は親株の組織を無菌環境で増やす方法です。原理上は親株と同一で、揃いがよく安価。悪いものではなく、希少品種が手の届く価格になったのは TC のおかげです。問題は表示だけ。TC 株を株分けとして売る行為は、日本の買い手が最も警戒するところです。初期生育が弱い、まれに変異が出るという声もありますが、見解は分かれています。

「親株の表現」とは何を指すのか

親株の表現とは、その親株が実際に育てた姿のことです。胞子葉の分岐の回数と長さ、貯水葉の冠の形とその鋸歯の鋭さ、星状毛の厚み、株姿の締まり。品種名でも、一番よく撮れた写真でもなく、何年も繰り返し現れてきた形質の集合です。

子株はその表現を受け継ぎます。スポア株は確率として受け継ぎます。TC 株は採取した瞬間の遺伝子型を受け継ぎます。子株を買うなら親株がすべて。スポア株を買うなら、親株は上限であって約束ではありません。

同じ名前でなぜ百倍の差が出るのか

三つの要素が重なります。出自(子株、スポア株、TC)。年数(胞子から最初のまともな貯水葉まで一般に1〜3年、展示できる株まではさらに長い)。そして、子株を出さない種では一株ごとに最初からやり直すという事実。そこに、希少株リリースはそもそも数株しかないという事情が加わります。親株まで辿れる成株と出自不明の小苗が同じ名前を名乗ることはあります。両者を隔てるのはこの三つであって、運ではありません。

商品表示を見たら確認したい四つのこと

一、子株か、スポア株か、TC か。二、親株はどの株で、写真と年月を見せてもらえるか。三、何年目の株で、自分の貯水葉を持っているか。四、スポア株なら単一親株か混合播種か。四つとも答えられる売り手なら、話を進める価値があります。

胞子から「貯水葉が出る」までの時間軸

よくある質問

子株はいつ、どの大きさで外しますか?

子株に自分の貯水葉が1〜2枚あり、その下に根が触れる状態で、親株の三分の一ほどの大きさが目安です。時期は成長が始まる春。早すぎると根がなく、遅すぎると貯水葉同士が板の上で融合します。

外した子株は枯れませんか?

十分な根を付けて外し、板付け後2週間は水を与えず、風のある明るい散光下に置けば、大半は活着します。失敗の多くは、小さすぎる段階で外す、成長点を傷つける、直後にたっぷり水をやる、のいずれかです。成功率の数字は出所で異なり、保証はありません。

スポア株と子株、どちらが育てやすいですか?

子株です。根と貯水葉を備えた小さな親株だからです。スポア株は小さく乾きやすく、高い湿度を必要とし、最初の1〜2年は成長が遅い。本質的な違いは遺伝で、子株は親のコピー、スポア株は親の子であり形質が分離します。

スポア株はどれくらいで貯水葉が出ますか?

胞子まきから数週間で前葉体、数か月で最初の小さな葉、最初のまともな貯水葉は1〜3年のあいだが一般的で、種と環境で大きく変わります。リドレイやワンダエのような単頭の種は遅めの傾向です。

OC とは何ですか?TC との違いは?

OC(オリジナルクローン)は命名株の株分け、つまり子株を指す日本の流通用語で、親株と遺伝的に同一です。TC は組織培養による複製で、原理上は同一ですが大量かつ均一に作られます。命名品種では OC・スポア・TC の明記が誠実さの基本です。

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