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吊るされたアルシコルネ(圓盾)の参考画像:四方に広がって垂れる細い灰緑色の胞子葉、中央に重なる丸い貯水葉、温室のガラスの前
參考圖:Liné1 · Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0 · 非 LDS 母株

Platycerium

Platycerium alcicorne
アルシコルネ

学名
Platycerium alcicorne
中国語
圓盾鹿角蕨
日本語
アルシコルネ
English
round shield staghorn fern

アルシコルネは東アフリカとマダガスカル原産で、ビカクシダ属の基準種です。貯水葉は丸く滑らかで板に密着し、胞子葉は細く何度も分岐します。子株をよく出し、強光と乾燥に強く、最も育てやすい原種の一つ。アフリカ産とマダガスカル産の二型があります。

育て方の要点

原生環境

東アフリカ(モザンビーク、ジンバブエ、タンザニア周辺)とマダガスカル、コモロ、セーシェルに分布し、乾季と雨季のはっきりした疎林や海岸林で樹幹や岩に着生します。ビカクシダ属の基準種です。原生地に乾季があるため、乾燥と普通の室内湿度に強い原種です。

光線

光を好みます。夏は遮光 30〜50% で十分で、光が足りないと胞子葉が細く徒長し、貯水葉が平たくなります。冬はほぼ直射でも構いません。

水分と湿度

水苔が乾いてからたっぷり与え、夏は 3〜5 日、冬は 5〜7 日に一度が目安。湿度 40〜60% で育ちます。アフリカ産は過湿に比較的強く、マダガスカル産はやや高めの湿度と風除けを好みます。

用土と板付け

子株を多く出す多芽タイプで、すぐに群生になります。貯水葉は丸く切れ込みがなく板に密着するので、平らな板を選びます。水苔にバークやココチップを混ぜて通気を確保。根が蒸れると弱ります。

温度と冬越し

適温 18〜30℃。夏は明るい日陰で屋外管理も可能。10℃を下回ると成長が鈍り半休眠に入るので、水は止めずに控えめに。15℃以上あれば明るい窓辺で冬も成長を続けます。

よくあるトラブル

  • 胞子葉が細く伸びる:光不足。
  • 貯水葉の縁が柔らかく茶色くなる:過湿と風通し不足。
  • 冬のカイガラムシ:室内管理で出やすいので葉裏を定期的に確認。
  • アルシコルネとして買ったらビフルカツムだった:この名は長年オーストラリア産の種に誤用されてきたため、古い表記には注意。

コレクションの見どころ

アフリカ産とマダガスカル産:アフリカ産は貯水葉が丸く滑らかでツヤがあり、黄緑色でほぼ無毛。マダガスカル産(バッセイ・vassei と呼ばれることもある)は貯水葉の上部に皺状の凹凸があり、色が濃く、星状毛が多く、胞子葉は細く均一に分岐します。var. madagascariense や var. vassei として区別する見解もありますが、Kew は現在 P. vassei を異名としており、定説ではありません。なお vassei という名前は両方に使われます。P. vassei の基準標本はモザンビーク由来の栽培株で、アメリカの売り場では Vassei はたいていアフリカ産を指すので、どちらの型か確かめてください。

アルシコルネとワリチー:海外の一部資料ではアルシコルネに「バタフライ」の名が付くことがありますが、台湾で「蝴蝶」と呼ぶのはアジア原産のワリチーです。アルシコルネは多芽で貯水葉が丸く切れ込みがなく、胞子葉は細く何度も分岐して胞子嚢群は先端近くに付きます。ワリチーは単芽で、貯水葉は高く裂けて乾季には全て褐変し、胞子葉は幅広い扇形で三つの大きな裂片に分かれ、胞子嚢群は最初の分岐の付け根に大きく二か所付きます。

アルシコルネとエリシー:どちらも丸くつややかな貯水葉で、幼株では判別が難しい種です。エリシーは胞子葉が立ち上がる幅広の逆三角形で先端が一度だけ分かれ、貯水葉の層の間に隙間ができます。アルシコルネは二〜三回分岐して裂片が細く、貯水葉は層ごとに密着します。

親株の表現:貯水葉の丸さと密着度、胞子葉の分岐の均一さ、群生の締まり具合で判断します。

繁殖方法:子株と胞子の両方。自家胞子培養では二型の特徴がどう出るかを板付け後の表現で見比べるのが楽しみです。エレファントティスやマダガスカリエンセとの交配親としても多く使われています。

よくある質問

アルシコルネのアフリカ産とマダガスカル産の違いは?

アフリカ産は貯水葉が丸く滑らかでツヤがあり、黄緑色でほぼ無毛。マダガスカル産(バッセイと呼ばれることも)は貯水葉上部に皺状の凹凸があり、色が濃く星状毛が多く、胞子葉は細く均一に分岐します。マダガスカル産はやや高めの湿度を好みます。二変種とする見解と、一種内の地理型とする見解があります。

アルシコルネとワリチー(バタフライ)は同じ種ですか?

別種です。海外の一部資料ではアルシコルネに「バタフライ」の名が付くことがありますが、台湾で「蝴蝶」と呼ぶのはアジア原産のワリチーです。アルシコルネは多芽で貯水葉が丸く、胞子葉は細く分岐し休眠しません。ワリチーは単芽で貯水葉が高く裂け、胞子葉は幅広い扇形で、乾季に全て褐変して休眠します。

アルシコルネとビフルカツムの見分け方は?

アルシコルネは貯水葉が丸く縁に切れ込みがなく、胞子葉は細く何度も分岐して縁がやや波打ちます。ビフルカツムは貯水葉の上部が浅く裂け、胞子葉はより深く幅広く分岐します。アルシコルネの名は長年オーストラリア産の種に誤用されてきたため、古いラベルや資料は当てになりません。

アルシコルネは子株を出しますか?

よく出します。多芽タイプで、成株の周りに子株が次々と出てすぐ群生になります。そのまま群生に仕立てても、葉が数枚出て根が用土を掴んでから株分けしても構いません。胞子培養でも殖やせます。

アルシコルネは冬に休眠しますか?

本格的な休眠はしません。10℃を下回ると成長が鈍って半休眠状態になり、15℃以上なら冬も育ち続けます。水を控えて冷たい風を避ければ十分で、ワリチーのように断水する必要はありません。明るい窓辺なら冬も動きます。

アルシコルネにはどのくらいの光が必要ですか?

原種の中では光を好む部類です。夏は遮光 30〜50%、それ以外の季節はほぼ直射でも構いません。光不足だと胞子葉が細く伸び、貯水葉が平たくなるのが最もよくある失敗です。光が足りていれば貯水葉は丸く張り、胞子葉は短く密に分岐します。

矮性のマダガスカル産アルシコルネとは何ですか?細葉のものとはどう見分けますか?

「ドワーフ」は流通名で、一つの選抜株ではありません。選抜者は見当たらず、同じ名前が互いに関係のない複数の親株、何か所もの組織培養株、さらには胞子培養株にまで使われています。英語では P. alcicorne dwarf と書かれることが多く、日本ではコンパクトとも呼ばれます。売り手の説明で共通しているのは二点だけで、株が小さく締まっていることと、胞子葉の先が巻くこと(成熟してからはっきりする)です。胞子葉が細長い、よく分岐する、葉色が濃いといった点はそれぞれ数か所の情報にとどまり、細長い葉はマダガスカル産がもともと持つ特徴だとする日本の店もあれば、葉が短く厚いと書くアメリカの売り手もいます。細葉のマダガスカル産も葉が細く、出品では二つの名前がよく混在しています。細葉のものは普通の大きさまで育つという話は一か所だけです。幼株ではほとんど見分けられないので、子株・組織培養株・胞子培養株のどれかを確かめ(胞子培養株が小型のまま育つかどうかの情報は見つかりません)、成熟した親株の写真を見せてもらいます。育て方は普通のアルシコルネと同じですが、矮性株は用土が少なく乾きやすいので、夏は水やりを増やします。

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