
Platycerium
Platycerium hillii
ヒリー
- 学名
- Platycerium hillii
- 中国語
- 深綠鹿角蕨
- 日本語
- ヒリー
- English
- green staghorn fern
ビフルカツムと最も混同される種。ヒリーの胞子葉はより濃い緑でほぼ無毛、直立して先端付近だけ分岐し、貯水葉の上縁は裂けずに平らです。クイーンズランド北東部の湿潤林原産。子株をよく出して殖やしやすく、リムクロンやドラゴンなどの選抜個体が人気です。
育て方の要点
原生環境
オーストラリア・クイーンズランド北東部の湿潤な熱帯林。Iron Range から Cape Hillsborough にかけて記録され、ニューギニアまで分布を広げる資料もあります。樹幹に着生し、子株で群生します。ビフルカツムのように涼しい南部までは分布せず、管理もそれに合わせます。
光線
中程度から明るい散光を 1 日 4〜6 時間。光が足りないと胞子葉が間延びして薄くなり、緑も淡くなります。正午の直射は黄変の原因。明るい東窓か、屋外なら 50% 遮光で。
水分と湿度
用土がほぼ乾いてからたっぷりと。湿度は 50〜70%。ヒリーは「高温と乾燥の同時進行」にビフルカツムより弱く、夏に水切れすると葉先から焼けます。冬は間隔を空けますが、完全に乾かし切らないでください。
用土と板付け
水苔にバークを混ぜ、排水のよい板に。多頭性なので群生の余白を残すか、単頭のすっきりした姿を保ちたいなら定期的に子株を外します。直立する胞子葉は壁面に板付けして正面から見るのが最も映えます。3号鉢サイズの苗はすでに板付けできますが、板材と水苔の量は苗の大きさに合わせてください。用土の塊が大きすぎると長期間湿ったままになり、根腐れの原因になります。板付け直後の苗はまだ根が張っていないため、まずは明るい散光と風通しのよい場所に置き、用土がほぼ乾いてから水を与え、落ち着いてから置き場所を調整してください。
温度と冬越し
適温 18〜30℃。33℃を超えると暑さで弱ります。耐寒性はビフルカツムより低く、資料によって最低 5℃から 12℃まで幅があるため、10℃を安全ラインとして冬は室内で管理します。窓際の冷気を避け、水を控え、サーキュレーターを回してください。
よくあるトラブル
- ビフルカツムと区別できない:次の項を参照。
- 葉先が焦げる:水切れか高温。
- 貯水葉がすぐ茶色くなる:正常。ヒリーの貯水葉は薄く、早く枯れ込みます。
- カイガラムシ:胞子葉の付け根と貯水葉の縁の裏に付きます。
コレクションの見どころ
ヒリーとビフルカツムの見分け方:3 点で見ます。貯水葉:ヒリーは丸〜腎臓形で上縁が平らか軽く波打ち、すぐ茶色くなります。ビフルカツムは先端に裂片があります。胞子葉:ヒリーは楔形で濃い緑、星状毛がほとんどなく直立し、分岐は先端 3 分の 1 に集中。ビフルカツムは灰緑で毛が多く、分岐が深く、垂れ気味です。胞子嚢群:ヒリーは先端裂片の裏面の大部分を覆い葉先まで達することが多く、ビフルカツムは裂片の先端に限られます。分岐の深さは資料によって説明が食い違うため、色と質感を優先してください。
品種:リムクロン('Rimklong')はタイのナーセリー資料では RongFern 由来とされ、非常に濃い葉色、厚い質感、安定したコンパクトな株姿が特徴で、ヒリーの選抜個体の中で最も名指しで検索される品種です。ドラゴンは鱗状の葉脈と爪のような葉先、ほかに綴化型やドワーフ型も流通します。いずれも登録品種ではなく流通名で、純粋なヒリーかどうか議論のある系統もあります。
繁殖方法:子株をよく出し株分けが容易で、胞子培養株(スポア株)も一般的です。選ぶ際は葉色の濃さ、株姿のコンパクトさ、そして親株の表現を見てください。自家胞子培養か株分けかを明記した株が安心です。
子株から始める:ヒリーは子株から育てると、半年ほどで株姿がはっきりしてきます。板付け直後の要点は三つ。しっかり固定する(揺れると発根が遅れます)、用土は通気よく過湿にしない、まず明るい散光に置き、新しい貯水葉が板にきちんと張り付いてから少しずつ光を強める。
よくある質問
ヒリーとビフルカツムの見分け方は?
3 点で見ます。貯水葉はヒリーが丸く縁が平ら、ビフルカツムは先端に裂片。胞子葉はヒリーが楔形で濃い緑、星状毛が少なく直立し先端だけ分岐、ビフルカツムは灰緑で毛が多く分岐が深く垂れ気味。胞子嚢群はヒリーが先端裂片の裏面の大部分を覆い、ビフルカツムは裂片の先端のみ。色と質感が最も確実です。
ヒリーのリムクロンとは何ですか?
リムクロン('Rimklong')はヒリーの選抜個体で、タイのナーセリー資料では RongFern 由来とされます。非常に濃い葉色、厚い葉質、安定したコンパクトな株姿が評価され、そこからさらに選抜された系統も流通しています。登録品種ではなく流通名で、管理は通常のヒリーと同じです。
ヒリーは子株を出しますか?
よく出します。多頭性で自生地でも群生する種です。葉が 2〜3 枚出た子株は外せますし、群生させても見応えがあります。株分け後は 2〜3 か月ほど湿度を保ち直射を避け、根が定着するのを待ってください。
ヒリーの冬越しの最低温度は?
ビフルカツムより耐寒性は低めです。資料により最低 5℃から 12℃まで幅があるため、実用上は 10℃を安全ラインにします。日本では冬は室内管理とし、窓際の冷気を避け、水を控え、風を動かします。低温と過湿の組み合わせが被害の原因です。
ヒリーは初心者向きですか?
向いています。丈夫で子株をよく出し、ビフルカツムよりコンパクトなので室内の棚やベランダに合います。注意はビフルカツムより 2 点多く、夏に高温と乾燥を重ねないこと、冬に低温と過湿を重ねないことです。コレクションへ進むならリムクロンやドラゴンなどの選抜個体が次の一歩です。
ヒリーのスポア株で謳われる『凹凸のある葉脈』『暗い黒緑の葉色』は信用できますか?
この二つの特徴は、孢子培養株の段階では個体差にすぎません。同じ一群の中でも葉脈の深さ、葉色の濃淡、株姿の締まりはそれぞれ違い、苗の時期の見た目は成株の姿とは限らず、成熟した胞子葉が出るまで安定しないのが普通です。母種の学名だけで品種名がない場合は実生個体で、選抜され命名された品種だけが照合できる固定した特徴を持ちます。
近い品種
よく比較される、または見分けにくい品種。