Cultivar · 品種
Platycerium willinckii 'Jenny'
ジェニー
- 学名
- Platycerium willinckii 'Jenny'
- 中国語
- 珍妮
- 日本語
- ジェニー
- English
- Jenny
原種
Platycerium willinckiiウィリンキー
台湾の「六大神獣」のなかで最も記録が残る品種で、報道まで辿れます。ジェニーの価値は大きさではなく、近くで見て初めて分かる葉形の細部にあります。同時に、すり替えや偽物、先祖返りの胞子培養株が最も多い名前でもあります。
育て方の要点
この名前が指すもの
ジェニーはウィリンキーのドワーフ選抜で、台湾でいう六大神獣の一つです。流通名であり登録品種ではありませんが、品種のなかでは珍しく報道まで辿れる名前です。
見分け方
初めて見た人の多くは「小さい」と感じます。しかしジェニーの価値は大きさではなく、近くで見て初めて分かる葉形の細部にあります。
- 胞子葉は短く垂れ、裂片が何度も分岐して層を重ねながら、絡まずに方向が揃っています。
- 貯水葉は層状に重なって締まったドームを作ります。調子が良ければ葉は厚く自立し、板に貼りついた一枚ではなく、奥行きのある小さな彫刻のように見えます。
同じ株でも時期によって葉の幅や分岐の深さは多少違います。これは正常な生育であって、血統が不純だとか育て方が悪いという意味ではありません。
調子は葉を見れば分かる
新葉が薄く柔らかく、分岐が浅くなり、株が外へ広がってくるのは、たいてい光不足か用土が湿りっぱなしによる徒長です。明るい散光に移し、用土の通気を保って過湿を避ければ、次の数枚から細部が戻ってきます。古い葉は戻らないので、判断はこれから出る葉で。
ジェニーに偽物が多い理由
名前が通っていて、かつては入手が非常に難しかったため、問題が集中しました。
- 胞子培養株は先祖返りしやすく、育ってもジェニーの葉形を保つとは限りません。
- すり替えと偽物。最初の流通時に争いがあり、別のドワーフがジェニーとして売られることもあります。
- 2024 年半ばから組織培養株が大量に出回り、入手難だった名前が比較的手に入りやすくなりました。購入前にどの経路の株か確かめてください。
真贋の確認方法は品種株を買うときの注意点に。
原種との育て方の違い
ウィリンキーの原則どおりで、ドワーフ特有の癖はドワーフ・ウィリンキーの育て方にまとめてあります。ジェニー固有の注意点がひとつ。外したばかりの子株は、ジェニーと判別できる姿になるまで通常一年半から二年かかります。 幼株で特徴が見えないのは当たり前で、買い間違えを疑う理由にはなりません。
購入前に聞く三つのこと
- 増やし方。子株、胞子培養、組織培養で結果がまったく違います。
- 成株を見せてもらえるか。見るのは葉形の細部、分岐の層、全体の対称性であって大きさではありません。小ぶりでも姿が整い子株が健全なジェニーのほうが、大きいが形の崩れた個体より見応えがあります。
- 名前は株に付いてきたか。有名な名前ほど無関係な株に付けられやすいのです。
名前の由来
PlatyWiki によれば、ジェニーはタイの愛好家の間で「吊嘎大叔」と呼ばれる選抜者(Mr. Yot)が選び、娘の名前から命名したとされます。台湾の買い手・呉旻修氏が 2018〜2019 年に子株を入手し、2023 年 2 月に台北の植物市で競売にかけられ、その取引は報道されました。
ただし但し書きが二つあります。 一つは、Mr. Yot の本名も農園もタイ語の一次資料も確認できず、コミュニティ内の伝聞しかないこと。もう一つは、選抜者の黄源氏が、タイでジェニーを見たときゴールデンボーイ・玉女・バクテリアとは「大きな差がある」と判断し子株を買わなかった、と公に書いていることです。同じ名前でも評価は人によって違います。
よくある質問
ジェニーはなぜこんなに小さいのですか。幼株を買ったのでしょうか?
ジェニーはもともと締まった姿のドワーフ選抜で、小ささは欠点ではなく特徴です。見どころは葉形の細部、短く垂れる胞子葉、方向の揃った密な分岐、厚く重なる貯水葉にあります。判断は姿の完成度と対称性で、大きさではありません。
ジェニーの新葉が薄く、分岐も浅くなってきました。血統が不純なのでしょうか?
多くは違います。新葉が薄く柔らかく、分岐が浅くなり株が外へ広がるのは、光不足や用土の過湿による徒長の典型です。明るい散光に移し、用土の通気を保てば、次の数枚から細部が戻ります。古い葉は戻らないので、これから出る葉で判断してください。
ジェニーの組織培養株は買ってよいですか?
何を買っているか分かっていれば問題ありません。組織培養株は母株と遺伝的に同一で形質も揃い、2024 年半ばから大量に流通したため、入手難だったジェニーが比較的手に入りやすくなりました。オリジナル個体の子株とは別物で、希少性の理屈も異なります。要は売り手が増やし方を明示しているかどうかです。
ジェニーは評判ほどではない、と言う人がいるのはなぜ?
評価が割れているからです。選抜者の黄源氏は、タイでジェニーを見たときゴールデンボーイ・玉女・バクテリアとは差があると判断し、子株を買わなかったと公に書いています。ジェニーが劣るという意味ではなく、同じ名前への見方が一致していないということです。両方の見方を併記します。
同じ原種の他の品種
同じ原種から選抜された名前。よく並べて比較されます。